【レポート】 次の時代の飲食店向けコンタクトセンターを作る Amazon Connect を使った取り組み #AWSSummit
2020年9月8日から30日まで開催されるAWS Summit Onlineのレポートです。
本記事で取り上げるセッションは下記となります。
セッション情報
スピーカー
- 株式会社トレタ CC 事業部、事業開発・アライアンス部
- 株式会社トレタ執行役員/トレタ CC 株式会社取締役 鷹嘴 成寿 氏
- 株式会社トレタ プロダクト開発部 エンジニア 北川 真理 氏
概要
100 店舗以上の飲食店の電話を代行するコンタクトセンター事業にて、 基幹の CTI を Amazon Connect へ切り替えることで得られた事業効果と、運用ノウハウについてお伝えします。 また、これから弊社が Amazon Connect を使って行なっていく新しいコンタクトセンターの可能性についてご紹介します。
動画と資料はこちら
セッションレポート
トレタのサービス
- 紙の予約台帳をiPadアプリ+クラウドに置き換えて、業務効率化
- 空席情報・予約情報・顧客情報を活用して、経営を高度化
トレタCC
- 「電話をやめたい」という現場からの悲痛な声
- 接客、料理を出す、追加のオーダーを取る、会計など様々な仕事がある
- 電話に出ると他の仕事に影響がある
- 飲食業界も、全予約の75%は現在も電話予約が主流
- 電話業務のBPO(アウトソーシング)できるサービスが、トレタCC
- 飲食店スタッフの代わりに電話に出ている
Amazon Connect導入背景
補足:以下はAmazon Connect導入前のコンタクトセンターの様子と課題
サービス開始までのリードタイムを短縮したい
- 店舗ごとにオペレーションのルールが異なる
- コンタクトセンターに業務をお願いする時間帯が異なる
- コンタクトセンターのスタッフが電話を受けれなかった場合の対応が異なる
- 店舗に電話転送
- コンタクトセンターで電話保留
- 店舗が増えるたびに、CTIベンダーへ設定を依頼していた
- サービスの受注が決まってから開始できるまでのリードタイムが長くなっていた
- 課題
- 店舗ごとに異なるコールフローをもっと早く構築できないか?
※CTI: Computer Telephony Integration
コールスタッフの生産性向上
- 別々の管理画面であるため、コールスタッフの作業遅延やミスが発生していた
- CTIの管理画面
- 予約管理システムの管理画面
- 課題
- CTIと予約管理システムの画面を統合できないか?
データを活用し、付加価値の高いオペレーションへ
- 同じ人が何回かけてきた? どの電話が予約関連なのか? などの分析が大変だった
- CTI
- 通話の履歴情報があるが、すぐに取り出せない
- 予約顧客管理システム
- 予約情報と顧客情報がある
- 課題
- CTIのデータをリアルタイムで確認し、例えば、折り返し電話をする優先順位を自動で決められないか?
- CTIのデータを予約顧客管理システムと紐付け、例えば、コールスタッフが顧客情報を把握している状態で受電対応を開始できないか?
Amazon Connect概要
- クラウドのコンタクトセンターサービス
- 数ステップで問い合わせセンターを立ち上げ
- 柔軟なコールフロー
- AWSサービスとの連携が可能
Amazon Connectで解決したい課題と解決方法
1. サービス開始までのリードタイム短縮
動的なコールフローを構築した
- 店舗や掲載媒体ごとにAmazon Connectで電話番号を発番する
- 電話がくるとAmazon Connectのコンタクトフロー(条件分岐)を通る
- 本来は店舗ごとにコンタクトフローの作成が必要になる
- 今回はコンタクトフローからLambdaを呼び出す事で、条件分岐のロジックをLmabda側で実装した
- 電話番号をLambdaに渡している
- 店舗が増える際は、データベースに登録するだけでOKになった
- これにより、店舗ごとのコンタクトフロー作成が不要になった
2. コールスタッフの生産性向上
CTIと予約台帳を統合した
- Amazon Connectが提供するCCP(Contact Control Panel)を埋め込んだ
- このCCPで電話を受けたり、電話をかけることができる
- Amazon Connect Streams(JavaScriptのライブラリ)を使えば、APIで操作もできる
- 受電した際の電話番号を予約台帳システムに渡せる
- 予約台帳システムから電話をかけれる
3. データを活用し、付加価値の高いオペレーションへ
リアルタイムな統計ダータを共有した
- リアルタイムモニターを作り、コールスタッフが常に見れるようにした
- Amazon Connectの通話履歴データをKinesis Data FirehoseとLambdaでリアリタイムにデータストアに転送
- データストアの情報をBIツールで可視化
- 時間別コール数
- 時間別予約成立数
- 前日比の確認
コストについて
Amazon Connectによってコスト削減ができた
- ブース単位のライセンス契約だったため、完全従量制(Amazon Connect)になることで削減できた
人件費によるコスト課題
- 店舗数が増えると、人件費も増えてしまう
- 1人が対応できる店舗を増やし、全体の人数を抑える必要がある
解決案:音声認識を用いた生産性の向上
- Amazon Transcribeを使って、音声情報からテキストデータに変更し、必要な情報を提示してコールスタッフの作業効率を上げる
解決案:全自動応答サービス
- Amazon Polly(テキスト読み上げ)を使って、コールスタッフを介さずに予約受付を行う
感想
コンタクトセンターで飲食店の電話予約を受け付けている音声が流れたので、「このような予約をするコンタクトセンターを作ったのか」と非常に分かりやすかったです。 Amazon Connectのコンタクトフローでロジックを持つのではなく、Lambda側でロジックを持つ点は良い発想で学びになりました。 将来の展望として、音声認識を活用したサービス案もあり、改善していくことが大切だと思いました。